強引上司にさらわれました

彼女は、少し肩をビクンとさせながらも立ち止まってくれた。


「詳しく聞かせてください」


目に力を込めて訴える。
すると三田村さんは困ったように眉尻を下げながら、どうしようかとオロオロとし始めた。


「お願いします」


私の強い申し入れに負けたか、三田村さんは意を決して頷いた。
エレベーターを左手に折れて通路の突き当りへ行き、人目を避ける。


「朝倉課長が私のことを好きって、なにかの冗談ですよね?」


三田村さんは「とんでもない」と首を激しく横に振る。


「もう結構前からで……。ほら、私も野沢くんのことを朝倉くんには相談してたから、彼も麻宮さんのことを私には話しやすかったんだと思う。でも麻宮さんには元木くんという彼氏がいたし、心の中にずっと秘めてたのよね。それでふたりの結婚が決まったときに、これ以上同じ部署で仕事はできないって、人事部長に異動を願い出たの」


そういえば、部長から呼び出されたときにも確か、課長が異動願いを出したのは半年前だとか言ってたっけ。

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