強引上司にさらわれました
確かに、ちょうどその頃だった。
私の結婚を直属の上司である朝倉課長に伝えたのは。
「舞香ちゃんのことはご存知ですか?」
「……ふたりが兄妹だってことよね? 知ってる。皮肉にも、舞香ちゃんは元木くんのことが好きで、朝倉くんは麻宮さんのことが好きなんてね」
課長が私のことを好きだったなんて、全然気づかなかった。
仕事以外で誘われたことはないし、個人的に連絡があったこともない。
会社で顔を合わせる以外は、いっさい関わりのない人だったのだ。
「まさか、舞香ちゃんがあんな大胆なことをするとは私も思わなかったけど」
「それは、課長がそそのかしたんですよね?」
「……うーん、それはちょっと違うと思う」
違う? いったいどこが?
「麻宮さんのことを想うあまり、元木くんのことを試したんじゃないかな」
達也を試す……?
今ひとつピンとこない。
「それはどういう――」