強引上司にさらわれました

◇◇◇

十七時十分、成田発シカゴ行。全日空NH114便。
美優がくれたLINEのメッセージを頭に叩き込む。
受付カウンターが並ぶ前には、たくさんの人が手続きを待って列を作っていた。

課長はどこ?
どこにいるの――?

早足で人ごみをすり抜け、その姿を探す。


「十七時十分発シカゴ行き、全日空NH114便の搭乗手続きを開始いたします」


空港内にアナウンスが響き渡った。

どうしよう! 課長がいっちゃう!

何度も人にぶつかりながら、搭乗ゲートへ続くエスカレーターの前へ辿り着いた。

――お願い! 課長に会わせて!

強く念じたときだった。


「麻宮……?」


聞き覚えのある、今一番求めていた声が掛けられた。
声のしたほうにゆっくりと振り返る。
するとそこには、驚きに目を見開いた朝倉課長が立っていた。


「こんなところでなにしてん――」

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