強引上司にさらわれました

「私、課長といるとドキドキするんです。笑いかけられたら嬉しくて、課長がほかの女の人と一緒にいるところを見ると嫉妬して……」


そんなこと、達也とじゃ一度もなかったから、どうしたらいいのかわからなかった。
達也とのことがダメになって、ほんの二ヶ月でこんなにも恋しい気持ちがほかの人に対して芽生えるなんて、心変りが早すぎるから。


「つまり？」


私に縫いつけたような視線を向けたまま、課長は探りを入れるように質問した。
息を細く長く吸い込む。


「……好きなんです」


そして、ずっとため込んでいた思いを吐き出すように言った。
その瞬間、課長が私を引き寄せ、気づけば彼の腕の中に。
それは、空にひらめく稲妻のごとく一瞬のことだった。


「やっと手に入った……」


課長の口からひとり言のような小さな声が漏れる。


「どれだけ俺が泉をほしかったか、知らないだろ」