強引上司にさらわれました

ちょうどいいって!
私はなんの準備も整ってない!

下ろしてもらおうとじたばたしていると、課長は「往生際が悪いぞ」と私に釘を刺した。

そして呆気なく課長のベッドルームへと連れて行かれてしまった。
私をベッドへ下ろし、自分のネクタイをシュルシュルと音を立てて外す。
それを無造作にベッド脇に落とすと、ワイシャツのボタンを三つほど開けた。

そこからチラっと見えた胸板に、ドキンと胸が大きく弾む。
色気を漂わせるのは勘弁してほしい。

ベッドで上体を起こしていた私を優しく横たえる。
課長は左肘を突いたまま、右手を私の髪に伸ばした。
あまりにも課長の顔が近くにあるものだから恥ずかしさに目を逸らすと、それを追うように彼の視線に捕えられた。


「もう逃げるな」


それが今の状況のことを言っているのか、私が課長の部屋を飛び出したことを言っているのかわからなかったけれど、ゆっくりとうなずく。
それを私の覚悟ととったか、課長は目を細めて微笑むと「よし」と、いい子いい子でもするかのように私の髪を撫でた。

限界をとっくに振り切った私の心臓。
このままいくとオーバーヒートして、きっと壊れてしまう。


「課長、私、死んじゃうかも」


私の体の状況をひと言で簡潔に表してみた。
もう、その言葉以外にないと思ったからだ。

すると課長は「俺も」と言って、フッと笑みをこぼした。

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