強引上司にさらわれました
爽やかな朝に似つかわしくない場面を追い出すべく、頭をブンブン横に振って頬をペチペチ叩いた。
「涼成さんってば!」
強く体を揺すっても、ピクリともしない瞼。
彼はうつぶせで私のほうに顔を向けた状態で、まだ夢の中だ。
いったいどんな夢を見ているのか、口角がほんの少し上がったように見えた。
私が飛び起こされたというのに、なんて呑気な!
「涼成さん! 起きなきゃ唇奪いますよ!」
よーし、こうなったら本当にキスしてやるんだ。
彼の隣にもう一度寝転び、唇を押し当てた。
ブチューッと強烈な音も立てて唇を離すと、彼の瞳がパッチリ開く。
その瞬間、後頭部をガッチリと押さえられた。
「――起きてるなんてズルイ!」
至近距離で絡んだ目にいたずらの色が滲む。
「あんなに熱烈なキスをされれば、嫌でも目が覚めるだろ」
「うっ……。それより、目覚まし時計はセットしないでくださいって言ったじゃないですか。私が起こすんですから、やめてください。心臓に悪すぎます」