強引上司にさらわれました
「さすがに今朝は泉でも起きられないだろうと思ったからだ。なにしろ昨夜の泉は――」
「わーわーわー! やめてください!」
涼成さんの口を手で押さえる。
こんな明るくなった部屋でそういう話はやめてほしい。
彼は私の手を無理やり外すと、意地悪に微笑んだ。
「それじゃ、もう一度キスしろ」
「な、なんですか、それ……」
「しないなら、昨夜の泉のこと、詳細に語って聞かせるぞ」
「絶対にダメです!」
課長ってば、私のことをからかって絶対に面白がってる。
目からいたずらそうな笑いが沸いていた。
「昨夜の泉は――」
「わ、わかりましたってば!」
彼は、口の中を奥歯で噛むようにして笑いそうになるのを堪えていた。
勝負ではないけれど、なんだか惨敗した気分だ。
ゆっくり顔を近づけ、唇を押し当てた。
顔を離して見せられた柔らかい笑みに、図らずもドキッとする。
「おはよう、泉」
「……お、おはよう……涼成さん」
挨拶を返すなり腰を引き寄せられた。
そして満足気に笑った彼は、私にキスの雨を降らせた。
-END-


