真愛
尊side
「…遅せぇ」
吸い終わったタバコを灰皿に押し付け、舌打ちをする。
準備にどんだけ時間使ってんだ。
「たかが準備なのに遅すぎねぇか。何してんだ」
「準備が遅くて苛立ってるんじゃなくて、奈々ちゃんが傍にいないから苛立ってるんでしょ〜」
楽に核心を突かれ、図星な俺。
何だかそれが気に入らなくてとりあえず蹴りを入れる。
八つ当たり!?とか喚いてやがるコイツは無視。
俺と奈々の時間を潰すお袋は何考えてんだ。
別に特別綺麗なメイクしなくてもアイツは充分可愛い。
ドレス着せて終わりじゃねぇのか?
これ以上可愛くなられたら俺が困る。
アイツに変な虫が付いたらどーすんだ。
そう考えるとさらに腹が立ち、貧乏ゆすりが酷くなる。
遅せぇ…いくらなんでも遅せぇ。
「尊さん、苛立ってるねぇ…」
「うえーん、尊が怖いよぉ〜、助けて雪乃〜!」
「気持ち悪いよ、楽にぃ」
雪乃にバッサリいわれて凹む楽。
いい気味だ。
「終わったわよ〜!」
お袋の声と共に部屋から出てきた奈々に、俺は目を見開いた。