オオカミ専務との秘めごと


「菜緒、宅配着てたんだね?やっぱり塩ちゃんのうっかりかー」

「うん、そうなんだけど、彼女のうっかりじゃなかったの」

「どういうこと?」


キョトンとする彼女に竹下さんのことを話すと、形のいい眉を歪めた。


「じゃあ、あの女のうっかりだったの?ああ違う。きっと、うっかりなんて可愛いものじゃないね」


佐奈はさくさくと封筒を分け、そのうちの一つを手にした。


「これ、竹下さんの。どうする?」


佐奈が言いたいことは分かるから、封筒を受け取った。

相手は一年先輩だから注意するのは難しい。

けど、言わないでおくのは今後のために良くないと思う。

お腹に力を入れて席を立ち、忙しげにキーボードを叩く彼女に呼び掛けた。



「竹下さん、郵便がきていました」

「あ、ありがとー。そこに置いといてー」


“そこ”というのはどこだろうか。

先日彼女が指さしたトレイだろうか。

でもあれはパソコンの横にあって、私からは手が届かない位置にある。

デスクには書類の山ができかけていて、適当なところに置けば、また封筒のまま迷子になりそうだ。

先日のことが思い出されて、うんざりする。



< 111 / 189 >

この作品をシェア

pagetop