オオカミ専務との秘めごと


「あの」

「なーに?まだ何か用があるのー?」


少しイライラした気を含んだ声に怯んでしまうが、ぐっと踏ん張る。

せっかく佐奈が、彼女に注意できるチャンスを作ってくれたんだから。


「塩田さんの伝言の件なんですが、ちゃんと私に伝えて頂かないと困ります」


すると彼女は、パッと手を止めて、私の方を向いた。

なのでこれを逃さず封筒を手渡しした。


「何のことー?」

「宅配のことです」

「あーっ、あのこと?ごっめーん。ほら私、今見ての通り、すっっっっごく忙しいからー。言うのすっかり忘れていたわー」


あははーと笑う彼女は、全然悪びれていない感じだ。

宅配は急ぎじゃなかったからいいけれど、重要な伝言だったら笑って済ませられないのに。


「これからは気を付けるー。ほらー仕事がきたんでしょー。さっさと席に戻って、やりなさいよー」


竹下さんは、話はもうおしまいとばかりにパソコンに向かった。

上手く注意ができずに終わってしまい、すごすごと席に戻る。

やっぱりいつか楢崎さんに言って注意していただこう。

佐奈にもそう伝え、ハイルング便りの編集を再開した。


< 112 / 189 >

この作品をシェア

pagetop