オオカミ専務との秘めごと
「あの」
「なーに?まだ何か用があるのー?」
少しイライラした気を含んだ声に怯んでしまうが、ぐっと踏ん張る。
せっかく佐奈が、彼女に注意できるチャンスを作ってくれたんだから。
「塩田さんの伝言の件なんですが、ちゃんと私に伝えて頂かないと困ります」
すると彼女は、パッと手を止めて、私の方を向いた。
なのでこれを逃さず封筒を手渡しした。
「何のことー?」
「宅配のことです」
「あーっ、あのこと?ごっめーん。ほら私、今見ての通り、すっっっっごく忙しいからー。言うのすっかり忘れていたわー」
あははーと笑う彼女は、全然悪びれていない感じだ。
宅配は急ぎじゃなかったからいいけれど、重要な伝言だったら笑って済ませられないのに。
「これからは気を付けるー。ほらー仕事がきたんでしょー。さっさと席に戻って、やりなさいよー」
竹下さんは、話はもうおしまいとばかりにパソコンに向かった。
上手く注意ができずに終わってしまい、すごすごと席に戻る。
やっぱりいつか楢崎さんに言って注意していただこう。
佐奈にもそう伝え、ハイルング便りの編集を再開した。