オオカミ専務との秘めごと
私は、新聞屋は辞めても、朝早く出勤するのは止めていない。
それは相変わらずに早寝早起きなせいもあるが、一番の理由は朝の空気が好きだから。
「おはようございます」
誰もいないけれど一応声をかけて入り、閉まっているブラインドを上げて朝の光を部内に入れる。
そのあとすぐ雑巾を用意して、まずは部長のデスクから拭いていく。
こうして毎朝みんなのデスクを拭いていると、ちょっとした変化に気づくことがある。
前日まであったものがなくなっていたり、その逆だったり。
ごくたまに、プライベートが垣間見えたりもする。
独身の男性社員のデスクにあった可愛い置物がなくなっていると、恋人と別れたのかな?なんて勘ぐってしまうこともある。
シングルマザーさんのデスクにあるカレンダーは、お仕事予定に加えお子さん関係のものもびっしり書きこまれている。
そういえば、ここ三日くらいお子さんの体調不良でお休みしてたっけ。
未処理の書類が積み重ねられていて、業務は相当に滞っている感じだ。
今日は出勤されるといいけれど・・・。
「ああ、また書類山が大きくなってる」
竹下さんのデスクを見て、つい、口に出してしまう。
また片付けを頼まれたら、今度は絶対断らなくちゃ。