オオカミ専務との秘めごと
でも、まあいいか。
いつも気になっているスッキリデスクの主が判明するいい機会だ。
きっと楢崎さんみたいに素敵な人に違いない。
勝手に決めつけて楽しみに変え、二課に向かう。
二つの課は同じフロア内にあり、カウンターで区切られているだけで、私の席からは一番遠い。
長谷部さんは一課に用があるときはいつも一旦廊下に出て、わざわざ佐奈のデスク傍の入り口から入ってくる。
それで話しかけて追い出され、戻るときは部内を通って女子に話しかけて笑顔をもらうのがお決まりコースだ。
わざわざ話しかけに来るんだから佐奈には本気なのかな?と思うけれど、書庫で他の子とキスしていたし、よく分からない人だ。
チャラいと言えばそれまでなんだろうけど。
「すみません」という声を思わず飲み込んでしまった。
だって、業務中のカウンターの向こう側は別世界だったから。
朝の誰もいない時とはまるで違う。
電話の会話が全部外国語・・・海外事業だから当然なんだけど、目の当たりにするとびっくりする。
二課のスペシャリストのエリーナはフランス語で楽しそうに話をしていて、内容が少しだけ理解できて嬉しくなる。
大学で学んだことは、まだ忘れていない。
例のスッキリデスクの主は位置的に背中しか見えないけれど、男性社員でパソコンに向かう姿勢が良く凛々しい感じだ。