オオカミ専務との秘めごと
思った通り素敵な人っぽい。
スッと立ち上がってプリンターに向かうその人の顔を見て、ハッと息をのんだ。
まさか、あの人のデスクだったなんて、ウソでしょう?
見間違いだと信じたくて目をこすってもう一度見ても、彼だ。
抱いていたイメージがガラガラと崩れる。
プリンターから紙を取ったその人がふとこちらを向き、私に気づくとあろうことか近づいてきた。
来なくていいのに!
反射的に逃げたくなるのをぐっと我慢して待ち構える。
でもまさか、この人が・・・長谷部さんが、あのデスクの主だなんて・・・。
「キミそこで何やってんの?」
「二課の郵便が交じっていたので届けにきました」
「・・・三倉は?」
「今日はお休みです」
「病欠?」
「いえ、身内にお祝い事がありまして、家に帰っています」
「ふーん、そう。じゃあこれは俺が配っておくよ。ご苦労さん」
「ありがとうございます」
長谷部さんに封筒を渡し、席に戻ろうとすると呼び止められた。
「・・・何でしょうか」
「キミさあ、さっき驚いたような顔をしていたよね。何があったの」
「あー、それは、スッキリデスクの主が長谷部さんだったからです」
「は・・・?何それ」
一旦目が点になった長谷部さんは、すぐにアハハハと声を立てて笑った。
「この前のことで何かあったかと思ったら。・・・キミ、やっぱり面白いなあ。よく言われるだろ」
「言われません!」
「つーか、もしかしてさ」