オオカミ専務との秘めごと


佐奈が出勤してお土産配っているのをいち早く発見して二課から来るとは、さすが嗅覚が鋭い。

チャラ男ゆえのことか、相手が佐奈だからか。


「順番にまわってますから、わざわざ来ないでください」


ムッとしながらも、佐奈は長谷部さんのてのひらにお菓子をのせた。


「へぇ、カステラか。俺、甘いの結構好きなんだ、サンキュ」

「ワガママで甘いものが好きなんて、子供みたいですね」


二人のやりとりは、周囲の笑いを誘っていて、ああして二人並んで立っているところは、すごくしっくりしていてお似合いに見える。

もしかしたら、案外相性がいいのかもしれない。

佐奈に話せば『とんでもない!』って怒られそうだし、言うつもりはないけれど。

長谷部さんもチャラくなければいい人なのにな。


やがて席に戻ってきた彼女は、デスクの上にたまっている仕事を見てため息をついた。


「休むとこうだから・・・。ね、休み中何か変わったことあった?」

「特にないけど・・・あ、そういえばメールのチェックで、一件急ぎの案件があったの」


彼女がメールの受信ボックスを開いたので、メールを示して説明を始めた。


「だからね、楢崎主任にも聞いて資料探して、PDFにして送ったからもう大丈夫だよ」

「ありがとう、本当に助かる。他にはない?」

「うん、それだけ」


チャイムが鳴り、間もなく電話がなり始め、佐奈が取ろうとするのを制して私が出る。

今日は私が率先して電話を取る日だ。

電話は男性営業へのものだったので内線で回し、私も仕事に取りかかった。


< 140 / 189 >

この作品をシェア

pagetop