オオカミ専務との秘めごと
お昼のチャイムが鳴っても私と佐奈はデスクから離れられず、食堂に行くのが大幅に遅れてしまった。
佐奈は仕事のキリがつかず、私は電話の応対で時間がかかり。
おかげで食堂はいっぱいで空いているテーブルが見あたらず、佐奈と一緒にうろうろしている。
「ごめん、菜緒。私のせいだ」
「そんなことないよ。でもすごいね。今がピークの時間だ」
ざわざわする食堂の中で席を探していると竹下さんと目が合い、曖昧に笑いかけるとツン!とそっぽを向かれた。
彼女に嫌われる謂れはないけれど、誤解されていることはたくさんありそうだ。
長谷部さんのこととか、仕事のこととか・・・他にもあるのかな。
普段それほど接点がないにしても、同じ部で働く仲間だし、嫌われるのは地味にへこむ。
「あ、塩ちゃんがいる。菜緒、行こう」
奥の隅の方に塩田さんがいて、私たちに手を振ってくれている。
彼女の笑顔を見て心がふわりと和む。
えくぼの癒し笑顔は、遠くからでも効果絶大だ。
塩田さんは二人掛けの小さなテーブルに一人で座っており、佐奈が持つトレイの大きさを見て、広げていたお弁当箱をコンパクトにまとめた。
そして、どうすればみんなでテーブルを使えるか、三人してああだこうだと言いながらテーブルと椅子を動かし、私は隣から空き椅子を拝借してテーブルの角に落ち着いた。