オオカミ専務との秘めごと
時間ぎりぎりに営業部に戻ると、竹下さんが私のデスクの前で仁王立ちをしていた。
もしかして、仕事で何か失敗したんだろうか。
「神崎さん、すっっっっごい、遅いじゃなーい。何やってたのー?困るんだけどー」
「はい、遅くなってすみません。何かあったんでしょうか?」
「何かって。えーーーっ、うっそーーー、信じられなーい。もしかして、忘れたのー?」
「はい?・・・えっと」
何か忘れていることがあるのかと、頭をフル回転させても思い浮かぶことは何もない。
けれど、竹下さんはため息を吐いて私を睨んでいて、すごく焦ってしまう。
「あーもう、仕事のできない人はこれだからー。イライラしちゃーう!」
大きな声で言うものだから、一課の中で注目を浴び始めていて、お腹の辺りがざわざわしてしまう。
竹下さんに頼まれていることがあっただろうか。
最近少し忙しく、後回しにしてしまって、うっかり忘れているかもしれない。
「すみません。私は何を忘れていますか」
「ああ、もう神崎さんって、ほんっと困るわー。会議室の準備。あなた当番でしょー。今日は一課と二課の主任課長会議の日じゃなーい。準備は当番が午後イチでするのが暗黙のお約束でしょー」