オオカミ専務との秘めごと
「違います。探偵ではなくて」
どうしてこう、話がトンチンカンになっていくんだろうか。
そういえば、店長は二時間サスペンスドラマの大ファンだって言ってたっけ。
そのせいなのかな?
「えーっと、その・・・」
どう説明したらいいんだろうか。
人から隠れたいなんて言ったら、今度は犯罪者扱いされそうだ。
「あ、すみません。やっぱり自分で考えます」
お疲れさまです!と、店長の好奇心溢れる視線から逃げるように事務所から出た。
アパートに戻って、鏡に映る自分をじっと見つめる。
メイクを工夫すれば、少しは変わるんだろうか。
『あんまり変わらん』
そうだ。あの日の大神さんは、すっぴんの私しか見ていないのだから、バッチリメイクをすれば一目でわからないかもしれない。
光明が見えた気がして、気分がパーッと明るくなる。
「佐奈みたいなお嬢さまメイクにしてみようか!」
と、思ったけれど・・・・。
悲しいかな、メイク道具が少なくて方法もよく知らない。
なにせ、つけまつげさえも持っていないんだから。
なんてことだろう。私ったら、つくづく女子力がない。
とりあえず帰りは百円ショップに寄ってメイク道具を見てみようと決め、今できるテクニックを駆使し、いつもよりも濃い目のメイクをして出勤した。