クールな御曹司と溺愛マリアージュ


ーー……ポーン


「……ん…」


ーーピーンポーン


少しだけ眠ってしまった私は、インターフォンの音で目を覚ました。


今日は宅急便が来る予定もないはずだし、こんな時に……誰だよ。

無視をしようと思ったけど何度もしつこく鳴らされて、仕方なくゆっくりとベッドから降りた。


体が重すぎる。一気に三十歳くらい年を取ったような気分で、成瀬君が言った『玉手箱でもあけたんですか?』って言葉はあながち間違ってないかも。


歩いている間も何度も押されるインターフォン。

「はいはいはいはい、今出るから……」


確認する為モニターを見ると、小さな画面に映っていたのは佐伯さんだった。


「はっ、え、ちょっと……なんで?」

あまりにも出ないからか、若干機嫌が悪いのがその表情から見て取れる。


「はい、あのどうして」

そう言いながら解除のボタンを押すと、開いた自動ドアから中に入り、そのままモニターから姿を消した佐伯さん。


待ってよ、佐伯さんがここに来るってこと?

でもどうして……。

私、仕事でなにかやらかしてしまったんだろうか。

問題が発生して私にそれを確認する為、とか?


佐伯さんの部屋と違って三階なのだから、考える間もなくすぐに二度目のインターフォンが鳴らされた。

心の準備なんて出来てない。ていうか、こんな状況予想できるわけないし!


マスクを装着し、ふらつきながらも玄関のドアを開けると、やっぱりそこには佐伯さんが立っていた。


「お、お疲れさまです」

ひとまずそう言って中に入ってもらい、私はそのままキッチンに立った。


「なにしてるんだ」

「お茶を……」

「そんなのはいい!」

そう言って私の肩に手を回し、そのままベッドまで連れて行かれ、半ば無理矢理寝かされてしまった。




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