クールな御曹司と溺愛マリアージュ
上手くいってる……のかな?
仕事は楽しいし私の気持ちは変わらず佐伯さんに向かっていて、寧ろ佐伯さんを知れば知るほど好きになっていってるけれど、佐伯さんとの距離が縮まっているのかは正直分からない。
もっと自分の気持をさりげなく伝える努力をした方がいいんだろうか。
でも、それってどうやって?そもそも好きだというアピールは、佐伯さんに通用するんだろうか……。
「恵梨!」
経理課を出たところで、またあの声が聞こえてきた。
気づかない振りをして立ち去ることなんて出来ず、ゆっくりと振り返ると、河地さんが爽やかな笑顔を浮かべて私のところへやってきた。
「よかった、もう帰っちゃったかと思ったよ」
なにがよかったんだろうと思ったけれど、元同僚として挨拶をすることは別におかしなことじゃないし、変に動揺する必要なんかないんだ。
「お久しぶりです。帰って来てたんですね」
「うん。今までは営業だけだったけどさ、向こうではデザインの勉強も頑張ったんだ。それで今回のコンペも加わることになってね」
「そうだったんですか」
「デザインの勉強は結構大変でさ、でもかなり評価されて、営業よりこっちの方が向いてるんじゃないかなんて言われたりしてさ」
あの頃は全然気づけなかったのに、昔から河地さんはこういう人だったんだと今ならハッキリ分かる。
河地さんは自分はどれだけ頑張ったのか、どれだけ凄いのかというのを言いたがる人だ。
「笹井さんは、元気ですか?」
過去を断ち切るかのように、自分から彼女の話を振った。
「え?あぁ、彼女とは別れたんだ」
「……は?」
私の目の前で結婚を前提に付き合っていて、一緒に香港に連れて行くと宣言したはずなのに。別れた?
「一緒に暮らしてたんだけど、価値観の違いっていうか。異動になってから一年くらいで彼女は日本に帰ったよ」
落ち込んでいたり気にしている様子は全くなく、なんなら少し笑みを浮かべたままそう説明した。
あの時受けた私のショックはなんだったんだろうと思うと、ちょっと笑えてくる。
仕事は楽しいし私の気持ちは変わらず佐伯さんに向かっていて、寧ろ佐伯さんを知れば知るほど好きになっていってるけれど、佐伯さんとの距離が縮まっているのかは正直分からない。
もっと自分の気持をさりげなく伝える努力をした方がいいんだろうか。
でも、それってどうやって?そもそも好きだというアピールは、佐伯さんに通用するんだろうか……。
「恵梨!」
経理課を出たところで、またあの声が聞こえてきた。
気づかない振りをして立ち去ることなんて出来ず、ゆっくりと振り返ると、河地さんが爽やかな笑顔を浮かべて私のところへやってきた。
「よかった、もう帰っちゃったかと思ったよ」
なにがよかったんだろうと思ったけれど、元同僚として挨拶をすることは別におかしなことじゃないし、変に動揺する必要なんかないんだ。
「お久しぶりです。帰って来てたんですね」
「うん。今までは営業だけだったけどさ、向こうではデザインの勉強も頑張ったんだ。それで今回のコンペも加わることになってね」
「そうだったんですか」
「デザインの勉強は結構大変でさ、でもかなり評価されて、営業よりこっちの方が向いてるんじゃないかなんて言われたりしてさ」
あの頃は全然気づけなかったのに、昔から河地さんはこういう人だったんだと今ならハッキリ分かる。
河地さんは自分はどれだけ頑張ったのか、どれだけ凄いのかというのを言いたがる人だ。
「笹井さんは、元気ですか?」
過去を断ち切るかのように、自分から彼女の話を振った。
「え?あぁ、彼女とは別れたんだ」
「……は?」
私の目の前で結婚を前提に付き合っていて、一緒に香港に連れて行くと宣言したはずなのに。別れた?
「一緒に暮らしてたんだけど、価値観の違いっていうか。異動になってから一年くらいで彼女は日本に帰ったよ」
落ち込んでいたり気にしている様子は全くなく、なんなら少し笑みを浮かべたままそう説明した。
あの時受けた私のショックはなんだったんだろうと思うと、ちょっと笑えてくる。