クールな御曹司と溺愛マリアージュ
*
コンペのデザインを進めながら佐伯さんはレストランの新店舗の仕事、拓海さんは営業や各クライアントとの打ち合わせに追われ、成瀬くんは新たに入ってきたデパートの展示会のデザインを担当することとなった。
あれから更に二週間が経過した今日は、珍しく全員が会社に揃っている。
「恵梨ちゃん、これお願いします」
「はい」
綺麗な壁紙、展示会のデザインに使うのかな。
成瀬君に渡された資料を基に壁紙や装飾品の発注をパソコンで行う。
「ごめん、恵梨ちゃん」
「はい?」
「これ、今後の予定なんだけど、後でパソコンでまとめて渉と成瀬にも渡してくれる?」
「分かりました」
肩を解そうとフーッと息を吐き腕を思い切り伸ばした瞬間、電話が鳴った。
「はい、ワームデザ」
『恵梨さん!有希乃です!』
「えっ、ああ、どうしたの?」
『私、あの……恵梨さんに確認しなきゃって、それで』
珍しく焦ったような口調の有希乃ちゃんだけど、なにを言っているのかは分からない。
「有希乃ちゃん落ち着いて、なにかあったの?」
気持を整えているのか、少しの間を置いてゆっくりと話し始めた。
『私……聞いちゃったんです』
「なにを?」
『例のコンペ、河地さんがデザインした企画が会議で通ったらしいんですけど、それが……』