クールな御曹司と溺愛マリアージュ
「ふぉういえば、ワームのしゃひょうって」

「成瀬、食べるか喋るかどっちかにしろ。何言ってるか分かんないぞ」


愛しのチーズケーキを食べきってお茶を飲んだ成瀬君。

「そういえば、ワームの次期社長って誰になるんですかね?今の社長はまだまだ元気そうだけど、佐伯さんが継がないとなるとどうなるんだろう?」

「うーん。俺の勝手な予想だけど、多分将来的にはワームの社長は渉がなるんじゃないかな?」


「え?」

私と成瀬君は、驚いて思わず同時に声を出した。

「だって、ワームの社長になったらこっちはどうなるんです?」

「ワームもワームデザインも、社長は渉になると俺は踏んでるんだ」

私の質問にサラッとそう言った拓海さん。だけど、佐伯さんはワームデザインを頑張りたいと思ってるんじゃ?


「俺は渉の親父さんも昔から知ってるけど、渉の力を誰よりも信じているのは親父さんじゃないかな?まぁ当の本人である渉がどうするかは分からないけど、親父さんは時間をかけて説得すると俺は思うよ」

「なるほど。確かに、佐伯さんなら両方の会社を担ってもやっていけそうですよね」

「まぁそれはまだまだ先の話で、今はこのワームデザインを大きくすることしか考えてないと思うけどね」

もしもそうなったとしたら、益々雲の上の存在になっちゃうな……。


「もしもそうなったとしたらさ」

「え?」

「恵梨ちゃんは、社長夫人だね」

拓海さんはニコッと笑ってそう言った。


「なっ、なにをいきなり!」

「なんなら俺のところに来てもいいよ。右手くらいなら空いてるから」

「ちょっと、拓海さん!」

「俺でもいいよ~、年下の男ってのもドキドキするんじゃない?」

「もう二人とも、からかわないで下さい!私、今日はもうあがりますから」


拓海さんも成瀬君も、突然変なこと言い出すんだから。

頬を膨らませながら、帰る支度を始めた。



「では、お先に失礼します」

「チーズケーキありがとー、お疲れさま」

「お疲れさま。頑張ってね」

「はい」


会社を出た私は、その場に立ち止まった。


ん?頑張ってね、って?まぁ……いいか。




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