クールな御曹司と溺愛マリアージュ

待ち合わせ時間五分前に駅に着くと、改札を出たところで腕を組んで立っている佐伯さんを見つけて小走りで駆け寄る。


「お疲れさまです。すいません、お待たせしました」

「お疲れさま」

佐伯さんを見上げると、トクンと小さく鳴る心臓。

いったいいつになったら慣れるんだろうと思うけど、多分これからもずっと私はこうなんだなって思う。

どれだけ一緒に仕事をしていても、佐伯さんと目が合うたびにドキッと胸が高鳴ってしまうから。


「柚原」

「は、はい」

「もうお腹は空いているか?」

「えっと、いえ、まだ大丈夫ですけど」

「そうか。じゃー少し付き合ってくれるか?」

私は首を傾げながら、佐伯さんの言葉に頷いた。


「あの、どこに行くんですか?」

「あそこだ」


佐伯さんが指をさした方向を見上げる。

いや、まさかとは思っていたけど……、スカイツリー?


「柚原は、昇ったことあるのか?」

「いえ、実はまだないんです。佐伯さんも?」

「あぁ、行く機会がなかったからな」


食事をするだけだと思っていた。でも、スカイツリーに昇るとなると話は別。

これって、デートってことでいいのかな……。

そう思うだけで、歩き出した佐伯さんの少しうしろを付いて歩く私の心臓が、さっきよりもずっと激しく揺れる。



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