クールな御曹司と溺愛マリアージュ
だいたいの引継ぎが終わったところで、時刻は十二時五十分。
気付けば休憩に出ていた社員が少しずつ社内に戻ってきていた。
「なんとか間に合いましたね」
「うん。なにかあったら遠慮なく電話してきてね」
綺麗になった自分のデスクを眺めていると、とても不思議な気持ちになった。五年間、私はずっとここに座っていたんだ。
新しい事に挑戦して自分を変えたいという気持になったのは、皮肉にも河地さんのお陰かもしれない。
色んな思いを巡らせながら、ワームデザインに向かう為、荷物を手に持った。
「じゃー有希乃ちゃん、またね」
「はい。しばらくは忙しいと思うので、落ち着いたら連絡してくださいね。飲みに行きましょう」
「うん。分かった」
有希乃ちゃんの可愛い笑顔を見ていると、やっぱり少し寂しいという気持ちに駆られてしまう。
「おー柚原、行くのか?まぁ同じ会社の系列だけど、一応別会社って事になってるから、最後に挨拶しなさい」
部長にそう言われ、私は入口に背を向けて広いフロアの真ん中に立った。
「みさなん、お世話になりました。まさか昨日の今日でこんなことになるとは思ってなかったので、ひとり一人に挨拶出来なくて申し訳ありません。ワームデザインの方に行っても頑張ります」
頭を下げた後、拍手の音に包まれたフロアをぐるっと見渡した。
娘さんが結婚したばかりの経理課長、入社した時に研修でお世話になった厳しいけど熱心な先輩、凄く嫌そうな顔で私を見ている初見さん。
そして、満面の笑みで拍手をしている大好きな後輩、有希乃ちゃん。
五年間お世話になったこの場所に別れを告げ、今日から新たなスタートだ。
気付けば休憩に出ていた社員が少しずつ社内に戻ってきていた。
「なんとか間に合いましたね」
「うん。なにかあったら遠慮なく電話してきてね」
綺麗になった自分のデスクを眺めていると、とても不思議な気持ちになった。五年間、私はずっとここに座っていたんだ。
新しい事に挑戦して自分を変えたいという気持になったのは、皮肉にも河地さんのお陰かもしれない。
色んな思いを巡らせながら、ワームデザインに向かう為、荷物を手に持った。
「じゃー有希乃ちゃん、またね」
「はい。しばらくは忙しいと思うので、落ち着いたら連絡してくださいね。飲みに行きましょう」
「うん。分かった」
有希乃ちゃんの可愛い笑顔を見ていると、やっぱり少し寂しいという気持ちに駆られてしまう。
「おー柚原、行くのか?まぁ同じ会社の系列だけど、一応別会社って事になってるから、最後に挨拶しなさい」
部長にそう言われ、私は入口に背を向けて広いフロアの真ん中に立った。
「みさなん、お世話になりました。まさか昨日の今日でこんなことになるとは思ってなかったので、ひとり一人に挨拶出来なくて申し訳ありません。ワームデザインの方に行っても頑張ります」
頭を下げた後、拍手の音に包まれたフロアをぐるっと見渡した。
娘さんが結婚したばかりの経理課長、入社した時に研修でお世話になった厳しいけど熱心な先輩、凄く嫌そうな顔で私を見ている初見さん。
そして、満面の笑みで拍手をしている大好きな後輩、有希乃ちゃん。
五年間お世話になったこの場所に別れを告げ、今日から新たなスタートだ。