クールな御曹司と溺愛マリアージュ
大通りにあるハンバーガーショップを右に曲がると、一方通行の少し狭い道に入っていった。そこには比較的小さなビルが立ち並んでいる。

歩きながら、私は気になっていた疑問をまた伊勢谷さんにぶつけた。


「伊勢谷さんと社長って、どういう関係なんですか?」

「ん?あぁ、渉とは同い年で大学からの知り合いなんだ。あいつは海外に行って、俺はその後不動産関係で営業をやりながら色々資格取ったり。で、渉から今回の会社設立の話しを聞いて一緒にやることになったんだ」

なるほど、だからとても親し気に呼んでいたんだ。


「資格って、空間デザイン関係のですか?」

「そうだよ。インテリアコーディネーターや、カラーコーディネーター。ちなみに渉は二級建築士の資格も持ってるよ」

「そうなんですか?お二人とも凄いですね」

もしかしたら二人は最初からこういう会社を設立することを目標に、それを見据えて頑張ってきたのかもしれない。


「私、事務仕事しかできないですけど、大丈夫か不安になってきました」

「大丈夫大丈夫。ああ見えて渉は人を見る目があるから、あいつが選んだんだ、自信もって。まぁ社員四人の会社だから、そんなに硬くならずにね」

伊勢谷さんの言葉に驚き、思わず足を止めてしまった。


「社員四人?」

「そう。ギリギリまでどうするかワームの社長とも話し合っていたからね。結局とりあえず社員は四人で始めることになったんだ。でも半年後には倍に増えてると俺は予想してるけどね」

ワームから異動する社員がいるというのは聞いていたけど、一人だけだったんだ。


「ほらここ、着いたよ。貸し店舗だから狭いけど」

話しをしながら歩いていたせいか、いつの間にか目的地に到着していた。


四階建てのコンクリート剥き出しのビルの一階、そこにあるシルバーのドアには〝Worm Design Co., Ltd〟と書かれてある。




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