クールな御曹司と溺愛マリアージュ
気持が落ち着いたところでぐるっと社内を見渡してみると、入ってすぐの所に楕円形の白いテーブルと薄いオレンジ色の椅子が四脚、ガラスの仕切りの奥には五つのデスクとパソコンがそれぞれ置いてあった。
全体的に白を基調としていて余計な物があまり置いてない為、実際よりもとても広く感じられた。
「なんていうか、お洒落ですね」
「当たり前だ。空間デザインの会社なのに社内が倉庫みたいだったら駄目だろ」
「うっ、はい。おっしゃる通りです」
佐伯社長の言葉は冷たいけれど、間違ったことは言っていない。
「戻りました~」
すると突然大きな声が社内に響き渡り、同時に一人の男性が入ってきた。
「声がデカい」
「すいません佐伯さん、声の大きさは俺の長所なんで。って、あれ?あれ?もしかして噂の事務員さんですか?」
私と目が合うと、つかつかと寄ってきたその人は自分から私の手を握って上下にブンブンと振った。
「ワームでは企画部だった成瀬広見(なるせひろみ)二十六歳です。宜しくお願いします」
茶色い髪をサラサラと揺らしている私よりも少し背の高い成瀬君は、学生だと言われても疑わないくらいとても可愛らしい顔でニコニコと満面の笑みを浮かべている。
「柚原恵梨です。宜しくお願いします」
「恵梨さんね。俺のこと知ってます?社員数多いから知らないかな」
「名前は分かるんですが……すいません」
成瀬君の言う通り、店舗勤務含め千五百人を越える社員全員を把握していたわけではないから顔と名前が一致しないことが多く、どこかで会っていたかもしれないけど同じ会社にいたという実感は全くない。
でも二十六歳ってことは、有希乃ちゃんと同期だ。
全体的に白を基調としていて余計な物があまり置いてない為、実際よりもとても広く感じられた。
「なんていうか、お洒落ですね」
「当たり前だ。空間デザインの会社なのに社内が倉庫みたいだったら駄目だろ」
「うっ、はい。おっしゃる通りです」
佐伯社長の言葉は冷たいけれど、間違ったことは言っていない。
「戻りました~」
すると突然大きな声が社内に響き渡り、同時に一人の男性が入ってきた。
「声がデカい」
「すいません佐伯さん、声の大きさは俺の長所なんで。って、あれ?あれ?もしかして噂の事務員さんですか?」
私と目が合うと、つかつかと寄ってきたその人は自分から私の手を握って上下にブンブンと振った。
「ワームでは企画部だった成瀬広見(なるせひろみ)二十六歳です。宜しくお願いします」
茶色い髪をサラサラと揺らしている私よりも少し背の高い成瀬君は、学生だと言われても疑わないくらいとても可愛らしい顔でニコニコと満面の笑みを浮かべている。
「柚原恵梨です。宜しくお願いします」
「恵梨さんね。俺のこと知ってます?社員数多いから知らないかな」
「名前は分かるんですが……すいません」
成瀬君の言う通り、店舗勤務含め千五百人を越える社員全員を把握していたわけではないから顔と名前が一致しないことが多く、どこかで会っていたかもしれないけど同じ会社にいたという実感は全くない。
でも二十六歳ってことは、有希乃ちゃんと同期だ。