クールな御曹司と溺愛マリアージュ
「成瀬」
「はい、なんですか?」
「いつまで握ってんだ」
そう言って握手をしていた私の手首を掴み、成瀬君の手から引き離した佐伯社長。そのうしろでは伊勢谷さんが笑いを堪えているようだった。
なんでよ。ただ手首を掴まれただけなのに、なんでこんなにドキドキしてるの?
心臓の音がみんなに聞こえてしまうような気がして、落ち着かない。
「じゃー全員揃ったところで少し話をしよう。二人には散々話したが柚原は初めてだし、もう一度会社や業務について説明する」
四人で楕円形のテーブルを囲んで座り空間デザインについてや業務内容の説明を受けていくうちに、ワームデザインに入ったという現実味が徐々に沸いてきた。
クライアントから依頼を受けたら、内容によって三人の中で誰が担当するか決めてデザインを進めるのが基本らしい。
「俺と拓海は営業も同時に担当する。成瀬は慣れるまで柚原のフォローも頼む。柚原は事務全般をやってもらうことになるから、まずは早く慣れろ。いいな?」
「はい、分かりました。宜しくお願いします」
今日何度目か分からないけれど再び頭を下げると、成瀬君が持っていた紙袋からガサゴソと何かを取り出した。
「はいこれ、出来ましたよ」
成瀬君が全員に配ったもの、それはワームデザインの名刺だった。
「はい、柚原さん」
「え、私も?」
驚いて名刺を手に取ると、会社名の下に〝柚原恵梨〟と書かれていた。
「当たり前だろ、お前もワームデザインの社員なんだから」
「社長……。はい、ありがとうございます!」
ワームで働いていた時は名刺なんて必要なかったし、当然配られることなんてなかった。
こうやって自分の名前が書かれた名刺を手に取ると、なんだかとても熱い気持が胸にこみ上げてくるようだった。
「はい、なんですか?」
「いつまで握ってんだ」
そう言って握手をしていた私の手首を掴み、成瀬君の手から引き離した佐伯社長。そのうしろでは伊勢谷さんが笑いを堪えているようだった。
なんでよ。ただ手首を掴まれただけなのに、なんでこんなにドキドキしてるの?
心臓の音がみんなに聞こえてしまうような気がして、落ち着かない。
「じゃー全員揃ったところで少し話をしよう。二人には散々話したが柚原は初めてだし、もう一度会社や業務について説明する」
四人で楕円形のテーブルを囲んで座り空間デザインについてや業務内容の説明を受けていくうちに、ワームデザインに入ったという現実味が徐々に沸いてきた。
クライアントから依頼を受けたら、内容によって三人の中で誰が担当するか決めてデザインを進めるのが基本らしい。
「俺と拓海は営業も同時に担当する。成瀬は慣れるまで柚原のフォローも頼む。柚原は事務全般をやってもらうことになるから、まずは早く慣れろ。いいな?」
「はい、分かりました。宜しくお願いします」
今日何度目か分からないけれど再び頭を下げると、成瀬君が持っていた紙袋からガサゴソと何かを取り出した。
「はいこれ、出来ましたよ」
成瀬君が全員に配ったもの、それはワームデザインの名刺だった。
「はい、柚原さん」
「え、私も?」
驚いて名刺を手に取ると、会社名の下に〝柚原恵梨〟と書かれていた。
「当たり前だろ、お前もワームデザインの社員なんだから」
「社長……。はい、ありがとうございます!」
ワームで働いていた時は名刺なんて必要なかったし、当然配られることなんてなかった。
こうやって自分の名前が書かれた名刺を手に取ると、なんだかとても熱い気持が胸にこみ上げてくるようだった。