クールな御曹司と溺愛マリアージュ
そういえば昨日あれだけ飲んで二日酔のはずなのに、少し頭が重いくらいで気持ち悪さはない。

もしかして昨日の夜胃薬でも飲んだかな?


結局朝食を全て完食し、お皿をキッチンに運んだ。

余計な物は触るなって書いてあったけど、お皿を洗うのはダメなのかな。

だけど後で怒られたとしても、このままってわけにもいかないし……。


悩みながらもお皿を洗った私は、そのまま洗面所に向かった。

リビングから続いている廊下には、ドアが三つ。どれが洗面所だろう。

カチャッと開けると、そこはトイレ。その向かい側のドアが洗面所だった。


部屋の中同様に、とても綺麗でピカピカ光る大きな鏡。広い洗面台には袋に入った状態の新しい歯ブラシが置いてあった。


歯を磨いて顔を洗い、使った歯ブラシを袋に入れリビングに戻る。


「次は……着替えって書いてあったけど」


ソファーの上には綺麗に畳まれた私の服と、その横には紙袋が置かれていた。
袋からそっと中身を取り出し、そのまま広げてみる。


「これを、私が……」


袖の部分が少し透けている白い半袖のシャツに、裾が少し広がった膝丈のネイビーのスカート。それにベルトも。


必ず着替えろって書いてあったし、着替えなきゃどこかに泊まったのバレバレだよね。

拓海さんと成瀬君は知ってるんだろうか……。


不安になりながらも、佐伯さんが用意してくれた服に着替えることにした。


こんな服、自分では選ばない。凄く可愛いけど、私には似合わない気がして……。


ベッドルームにある全身を映す鏡の前に立ち、ゆっくりと顔を上げた。



「これが……私……?」



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