君思い
「へぇ、先輩は後輩ナシなんですか」

どアップの秦野君から逃れるため、瞬時にあとずさったが後の祭り
右手の手首を掴まれ、逃げられないように固定される

『いやいやいやいやいやいや!!!!!何のことかなちょっと記憶飛んじゃったかもしれないから!保健室行かないといけないかもしれないから!』

完璧に焦ってる自分
そりゃ焦る
さやはニヤニヤしながら先に部室へ向かってしまったし、ここの廊下は人があまり通らないし放課後なんて通り道にもならないため、私たち2人きりな訳で
さっきあんな話をされたため、無駄に意識してしまう

確かによく見るとイケメンの部類に入るなぁ…とか、髪の毛ちょっと茶色混じってるしサラサラそうだなぁ…とか

「…先輩?顔赤いですよ?」

『はっ!?赤くない赤くなってない赤いはずがない!』

「…」

そんなことよりどうやって逃げようか思案していると、カシャっというシャッター音

シャッター音?

『は!?何してんの今撮ったでしょ!』

「ほら」

そう言って目の前に出されたのは自分の真っ赤な顔の写メ

『わぁ〜本当だ、真っ赤だね〜ってバカ!消せや!』

「消せるもんなら」

スマホを上に掲げられ、もう絶対に手が届かない状況
秦野君は私よりも身長が高い
普通は「もぅ!届かないよぉ〜」とかピョンピョン飛びながらじゃれ合うのだろうけど、私はそんなことしない

とっておきの方法…なんてないから普通に交渉する
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