君思い
『…いやぁ〜昇平様、今日はえらくお早いんですね。部長会議があるとお伺いしたのですが…』

その鬼は我が写真部の部長、河口 昇平(かわぐち しょうへい)である

この鬼、成績優秀でスポーツ万能の高スペック野郎で、運動部や生徒会からの勧誘をすべて断り写真部の部長をやっているという…生きる学校の七不思議と言われている(かもしれない)人物である

「お前が部長会議のある日は遅刻してきているという情報は入ってきていたが…まさか自白するとは、俺を前にして大した度胸だな」

あれっ、私今墓穴掘った?

非常にまずい事態だ
まずこの鬼部長、時間に厳しくなおかつ私に厳しい
そしてどSである
それに加わる黒髪眼鏡
普通の女子なら鼻血もんだが、私にとっては鬼であり厳しすぎる幼馴染だ

『待って!ちょっと待って!誤解だよ、そんなことより!えーとほらほら!』

必死で鞄から袋を取り出し、交渉材料に使う

「あ?…なんだこれ」

『昇平のパンツ!
今日私の家の庭に落ちてたんだって!
昨日風強かったからね!』

ドヤァ顔でふんぞり返る私を見て、昇平はニコっと笑う

「そうか、助かった」

ほっと胸を撫で下ろした瞬間、昇平は笑顔を浮かべたまま私の頭を容赦なく掴む

「そんなお前にご褒美だ。
今ここでシバかれるのと後でじっくりシバかれるの、どちらか好きな方選ばせてやる」

『シバかれない選択肢は無いんですか!?…っていだだだだだ!!!割れる!頭割れる!!』

ギャーギャーと暴れ回る私たちを見て、さやはいつものようにため息をついた
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