届かないこの想いを、胸に秘めて。
「せっちゃんっ」
「……和海ちゃん」
「もう、なんて顔してるの」
「だってー」
最大の壁にぶち当たってるんだもん……。
「応援してるよ!大丈夫。ね?」
優しく包まれた体に温もりを感じて目を閉じる。
和海ちゃんの花の香りに鼻がくすぐられて小さく笑う。
ありがとう、和海ちゃん。
「うん。私がん──うぐっ」
そう声をあげたのは和海ちゃんもで、さらに圧力がかかった体に苦しさが襲った。
「私も混ぜろよ〜」
「か、なえー……離れて」
「くるしっ……」
香奈恵ちゃんは笑いながら更にぎゅっと締めつけるから、私たちは包まれながら彼女の腰めがけてくすぐった。
香奈恵ちゃんはとにかく腰をくすぐられるのが弱い。
和海ちゃんと顔を見合わせたのを合図に反撃をする。
すると、普段出さない声をあげて一気に離れたから私たちはハイタッチを交わした。
「っと、まじでここは止めて」
「香奈恵がいけないんだよ。ねっ」
「離れてくれないから」
腰を守るようにする香奈恵ちゃんにそう言うと「べー」と舌を見せられて、
もう一度攻撃しようと構えると「ごめんなさいっ」と即座に謝るから、声に出して笑った。