【第二章】狂気の王と永遠の愛(接吻)を
 光の中心へと降り立ったキュリオは、ひんやりとした霧の中に佇んで巨大な古城を見上げた。

「これが<初代王>の城か……」

 淡い光を放ったそれは、あたりの霧に乱反射して光そのものをその場にとどめているかのように幻想的な雰囲気な包まれている。
 
 高い城壁に囲まれた城の門は大きく開け放たれ、その先に目を向けると、城へと続く道は星を散りばめたように輝いていた。

(……大きいな。まるでこの城が悠久の国そのものであるかのような不思議な空間だ)
 
 キュリオが歩くたびに揺れ動く霧。決して視界が良好というわけではないが、行く手を照らす数多の輝きが道標のようにふたりを導いている。
 
"我が城へようこそ。<悠久の王>キュリオ。そして、アオイ姫"

 穏やかに流れる清流のように澄んだ声の持ち主は<初代王>の彼だった。
 霧の中から現れた彼は微笑んでいるようだ。それもそのはず、彼が受け入れてくれたからこそこの城に招待してくれたのだろう。

「御招き頂き光栄です。ここは貴方様の思念の中ですか? 本物は別の場所にあるのでしょう?」

"……なるほど。君が<託された王>なのも頷ける。まあ、中に入り給え"

 これが本物ではないことを見破ったキュリオに少々驚いている<初代王>。

(……<託された王>?)

 美しい銀の髪を揺らし城の中へと入っていく<初代王>の後をついていきながら、彼の言葉の意味を考えるキュリオ。


――カツーン、カツーン


 外観から見る古城とは裏腹に内観は美しい大理石で覆われ、現代のものと見分けが付かないほどに行き届いた装飾や高い天井、差し込む光は荘厳の一言だった。
 傷もなく鏡のように磨かれた床には三人の姿が映っている。

 しばらくの沈黙の後、開けた階段と回廊を抜けて辿り着いた城の最上階。

"御覧。この城の本体がどこにあるかがわかる"

 上を見上げた彼に続いて視線を追うと――……

「……っ!」

 そこには思いもよらぬ光景が広がっていた。




「……まさか……、この巨大な城が水の中に――?」



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