世界はきみに恋をしている。
俺はその言葉に一瞬固まった。
俺がここに来るようになってから、美術部らしいことは何もしてない。カナだって。
「………ミウの描く絵?」
「いや……なんでもない。ノガミには関係ないことだったわ」
カナは口を滑らせた、とでもいうような表情で再び本に視線を落とした。そして、もうそれ以上何も口にしたくないと言わんばかりに俺に一切目をくれない。
ミウの描く絵って何ソレ?
俺が入部してから早2週間。
ミウが絵を描いている姿なんて、美術部員としても、ノートに書くラクガキさえ見たことがないって言うのに。
「……おいカナ、いまのどーいう…」
「あ!私先生に呼び出されてるんだった。」
カナはわざとらしく席を立つ。ますます怪しいし、なんだか心が、ざわついている。
「 おい待てって…」
「ノガミ」
俺の言葉を遮って、部屋を出て行こうとしたカナが振り返る。俺は言葉を止めた。
振り返ったカナの顔は、普段とは全く違う、本当に真剣な顔だった。カナのこんなに真剣な表情を、俺は初めて見た。そして、あんなに真剣な声も、初めて聞いたんだ。
「ごめん、今言ったこと忘れて。
ミウはもう_____絵、描かないから。」