神と忌み子

……
「…アラン…」
「アランが気になるの?」
セシルさんは、私の呟きを地獄耳のように聞いた。
セシルさんは、アランの魔力に耐えられずにアランの触れた所が火傷したが、今のところ、治療するとのことだそうだ。
アランは、セシルさんの事があってから自分の部屋にずっといるそうで、私はアランに宿題を渡しにアランの家に来ているけど…。
当の本人は、部屋にいるみたいで…。
「ふむ…リアさん。アランの部屋に行って欲しいんだ、お願いできますかな?」
「はい、わかりました!」

……
アランの部屋の前に行ったものの、威圧的な装飾品があまた飾ってあった。
私はアランの部屋のドアを小さくノックした。
そのまま、部屋の前で待っているとドアが少し空いた。チラッと見えたのは、紫水晶の二つの目だった。外の訪問者を見るように外を覗いていた。
「アラン、部屋に入れてくれない?」
「…リア…?」
小さな声が聞こえると、目の前のドアが古びた音をたてて開いた。
私は、その中に入っていった。

……
アランは、部屋の端に置いているベッドに座ってドアの方に手をかざして、私が入ったのを確認すると
ドアを魔力で閉じた。
『チチッ!』
「…チリシィ、落ち着け。私の親友だ」
私の目の前に来たのは、コウモリだった。目はアランと同じ紫水晶色だった。
チリシィと言うらしい。私が小さく呼ぶと、ぴくりと動いた。
「チリシィ、遊んでこい」
『チチィッ!』
チリシィは、窓から出ていった。
「アラン、大丈夫…?」
「あぁ、大丈夫だが…どうした?」
「えっ、アランが出てこないって聞いてたから」
アランの隣に座っても、アランの魔力はいつもの優しい魔力ではなくどこかツンツンした感じがする。
「…リア、俺は…どうすれば良かった…?」
「…え…?」
「…俺は、昔違う国にいた。…あ、いや…っ!大丈夫…っ大丈夫だから!」
「…っアラン?」
アランは、紫水晶色の目に私じゃない面影を見ているようだった。
私はアランに抱き着いた。アランの魔力に耐えられず、崩れそうだった。
でも、助けたい…っ!
「あ…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…っ父様母様」
アランの言った《父様母様》は、アランとセシルさんのお父様で無いことは明確だった。
「アラン、大丈夫だよ。…大丈夫だから、ね?」
「…っリア、俺はどうすればよかった…?」
アランは私にすがり付くように泣いている。
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