神と忌み子
アランは、一度私を降ろすと森にいた馬に軽々と乗った。
そして、アランは私に手を差し伸べた。
「掴まれ」
アランの手に掴まると、アランは微笑むと手を引いて私をアランの胸に凭れさせるような感じで馬に乗せた。
「…あ」
胸に凭れると、アランの鍛えた体つきがわかった。そして、私がアランにとても密着している事に気付いた。思わず、私は頬を赤らめた。
「大丈夫か?」
「えっ、うっうん!」
アランは、馬を走り出させた。

………
そして、私達は社に着いた。
社は、貧相な造りなのに威圧感があった。そして、その前には3人の男女がいた。
「兄様!」
「遅くなりました。…私の友達、リア・クラウドです」
「…どういう訳ですか?」
「すみません、私が着いていきたいと言ったんです」
「フェリナ、別にいいだろう?」
「ええ…わかりました」
アランは、会話をしている時に私を隠す様に立っていた。
「それで、社に何が?」
「それが((ベキベキッ!…!来るぞ!」
私達が音のした方を見ると、魔物に似ているモノだった。
「魔神…!?まさか、どうして社に…!?」
「…"古の誓いにて、壊れるもの切り裂きし全能の罪を纏いし杖よ。我に力を"……」
「リア様!こちらに!」
アランの周りに黒蝶が舞う。…気のせいか、私の胸の蝶が疼いた気がした。
「…アラン、待って。…っ!アラン!」
「…!」
アランが振り返るその瞬間、魔神が動き始めた。
「"古の誓いにて、蝶の刻印の罪と言う罪あらじと罪を纏いし杖よ。力を我に"…!」
「リア!」
私の口から、こぼれでた言葉にアランは驚いていた。
私の手に、アランと対になる黒の蝶が描かれている杖があった。
「…っ…お前は…、どうするんだよ…!」
アランは、苦しそうに言った。
その時、魔神がアランを通り越して、私に襲いかかってきた。
「…!」
殺される…!そう思って目を瞑っても傷みは来ない。
ただ、感じたのはベチャと顔に付いた鉄臭い液体だった。
そっと、目を開くとアランが魔神から私を守ったのか、アランの体の所々に傷があった。
感じたのは、アランの血だったの…?
「…っバカ…お前を…守れない俺の…気持ち考えろよ…」
「アランッ!」
「…お前の御霊に、あんな事してごめんな」
「…アランッ!」
魔神は、私達に近づいていた。
「…まぁ…どうせ…」
アランの瞼が閉じると、アランの体が淡い光で光った。
「…?」
光がなくなると、アランがいた。
でも、アランじゃない。アランの服は、あの真っ白な服じゃなくて。
淡い白を強調して、金の線が引かれている布が体の線が分かりやすく巻かれている。
「…アラン…?」
私がアランの名前を呼ぶと、アランは微笑みを浮かべた。
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