今日も明日もそばにいて
「夕方からはイルミネーション、点灯されるんですよ。まだ今の時期は明るいですから夜にならないと綺麗さは解らないですね。
さっきのところからまた別階段で降りる事も出来ますが、帰りはそのままエレベーターで降りましょう」
下りは脚がガクガクしやすい。
「先輩?」
「あ、ごめん、景色を見てたらボーッとしちゃった。どっちを見ても、ずーっと建物ばかりだなぁと思って。…当たり前だけど」
少しの緑も、こうして見れば点在してるのね。
「山に登れば見えるのは、山。人工物に登れば見えるのも人工物、ですね。都心ですから」
「そうね」
「そろそろお腹空きませんか?昼前ですし、運動もした事だし、丁度いい具合に食欲も出ると思うんですが」
「うん、そうね」
「じゃあ、ぐるっと見て、ご飯に行きましょう。早めでも混み始めるかも知れませんから」
「うん」
…今日、初めて行動を共にしているのに。何だか不思議と自然だ。
周りの家族連れの和やかな雰囲気とか、景色とか、そんなモノに感化されているのかも知れない。
一緒に登ったから、その共有した達成感も関係しているのかも知れない。
苦楽を共にした、みたいな。…ん。
エレベーターで下に降りた。
「さて、と、ここら周辺でご飯屋さんは…」