今日も明日もそばにいて


少し待って席に案内され、ランチメニューと格闘した。
坦々麺も食べたい。海老チリも、出来れば麻婆豆腐も…。迷えばきりがない。

「…神坂君…決まった?」

「俺は五目炒飯に海老マヨ付き」

そうか、神坂君は海老マヨなのね…。じゃ、あ。

「私、坦々麺に麻婆豆腐付きにする」

注文した。


「先輩、明日は何するんですか?」

「え?明日?」

「はい」

何も、予定は無い。

「家に居たら…気が向いたら、掃除くらいかな」

多分、しない。

「へえ。やっぱり、ちゃんとしてるんですね」

いや、しないから、きっと。やっぱりって、ちゃんとしてるなんて思われたら、…反って困る。

「神坂君は?」

「俺は…特に何も無いです。無ければ無いなりに行動しますよ?」

「え、何?どういう事…」

やっぱりしないだろうってバレてる?

「王道でいきましょうか。映画はどうです?最近見ましたか?映画館で。遊園地っていうのも、有りですよ?天気も良さそうだし。……観覧車でゆっくり廻るのもいいですね。ん〜、逆にはしゃぐのも子供っぽくて楽しいかも。水族館もいいかな。こっちはちょっと大人っぽく、夜からっていうのもいいもんですよ?海月が宝石みたいで綺麗ですよ?」

「…神坂君」

「はい?」

「ねえ、本当に彼女ずっといないの?」

「はい」

「嘘…。嘘だと思う。だって…色々詳しい…」

「誰かと行きたいところとかに詳しいのは当たり前でしょ?いざという時、何も知らないなんて、間に合わない」

まあ、そうでしょうけど。

「プラネタリウムもいいですよ?リクライニングシートでゆったり眺めていると、他人が居るのも忘れて。…いい感じです。うん…、プラネタリウム、いいかも知れない」

なんかチラッと想像したでしょ…。

…。

今、神坂君の全てが解らない。…だいたい。暇だからって急に私を誘う?どういうつもりなんだか全く解んない。

今、私に明確に解るモノは、目の前の神坂君の海老マヨの存在。
もう、残り少なくなってきてる。手前の一つはロックオンしている。…勝手に。

「神坂君、お願いがあるの…」

「はい…何でしょう」
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