今日も明日もそばにいて

…はぁ。あ、また…。ん〜。それにしても、気がつけば無自覚に溜め息ばっかりついてる。何だかよく解らないけど、溜め息が出るのは何故?それも…急にそのことに気になったりして…。溜め息なんてよくしてる気がするのに。…パソコンの画面を見ても答えは出て来ない。当たり前だけどね。………秋?いや、まだ…訪れていない。むしろ、まだまだ汗ばむ残暑厳しい日々。

…。秋だからと、季節のせいにしてみたところで。それは…なんだかままならないことが重なってるから切なくもなったりする訳で。
要するに、日々、つまらないってことなのかな…。それはあるのかな……。

神坂君が言ったみたいな事では勿論無い。食べ物がなくなってたなんて、そんな…ね。…そんな…まして、…恋は確実に無い。誰かに失恋した訳でもない。誰かを切なく思っている訳でもない。
…内緒にしている思いなんてモノも無い。…皆無。

あー…。な~んにも無さ過ぎて空しいのかな。そうよ、そうかも知れない。そんな気がする。はぁ。
でも…それってどうなの?恋もしてない…女として、いよいよ終わってる?
確かに……ピチピチと若くはない…かな。ハハハ。…はぁ。ピチピチって言ってることが、もう…古いって。

…だって…、恋ってワードも出たけど、…それ、無理して好きになるものじゃないでしょ?
居ないなら居ないでしようがないじゃない?…別にいいじゃない。

特に何も困る事も無く、普通に暮らせてるからかな〜…。こういう考え方に行き着くことが縁がない、遠くさせてるってことなんだろうけど。……別に。

恋に有りがちな、ハプニングに出くわすとか?それも…期待しても無さそうよね。まず、遭うためには行動しないと…。努力?
お年頃の女子に望み通りのハプニング付き出会いが待ってるなんて、…数が膨大過ぎて、平等になんて有り得ないんだ。みんなに行き渡るなんて事、無理な話だ。
なら、その少ない可能性に出会っている子は、選ばれし強運の持ち主って事よね?
つまり、運の中でも、恋愛運に強い子って事なのかな。恋の女神に振り向いて貰えたって事よねー。…んん〜。……じゃあ、仕事運、金運は?…。それは、恋してると気にもならないのか…。



「…先輩。実季先輩」

…。

「…え?あ、はい。はい。え、神坂君…。え、…え?もう、そんな時間?」

「はい、行きましょう」

いつから居たの?慌てふためいて時計を見た。
…嘘、…とんだ給料泥棒だ。私…1時間くらい仕事らしい仕事、何もしていなかったかも知れない…。嘘…。これは…、何とも有り得ない失態。座ってたらそれだけで仕事してるって見えてたって事?確かに、溜め息ついて時々唸ってたら難しい事に取り組んでるって思ってくれたかも知れない。…多分、マウスを握ったまま眉間にしわを寄せていただろうから。
…誰も何も言わないし。流石に“大”先輩には、注意は出来ないか…。はぁぁぁ…。

「ごめん、神坂君…」

「…?先輩?下で待ってるんで、着替えが終わったら降りて来て貰えますか?」

「あ、は、い。はい。解った、ごめんね。本当、何だかずっと、ボーッとし過ぎ…」

無意識に額に手を当てようと腕が動いた。
…え?

「…熱は……無いみたいですね。具合悪いといけないから。…大丈夫そうですね」

それより先に神坂君の手が額に触れた。…。あ、え。

「な、無い、無い」

熱でボーッとしてた訳じゃないから。

「ですよね。ハハ。じゃ、待ってるんで」

下を指して先に出て行った。

「あ、は、い」

…あ。

「直ぐ行くから~ごめんね~」

聞こえたかな。…熱は元々、無い。うん、無いのよ。そうじゃないのよ……何?今の。何だったの?
あ、いけないいけない、急がないと。

帰りの挨拶…と思っても、もう疎らにしか残って居なかった。
…人が帰った事にも気がついて無かったのかな。今日は何から何まで…散々って訳ね…。
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