今日も明日もそばにいて

「え?」

「5時?6時?それとも、もっと夜遅いの?」

…。

「あ、それは、夕方…くらいに考えていました。だから、まだ時間はあり過ぎくらい余っています。俺、取り敢えず一旦帰ります。それでまた誘いに来ます。だから一緒に行きましょう?」

…。

「神坂君…」

「はい」

「うちは何も無いし、別に楽しくも無いかも知れない。準備は済んでるの?」

「え?」

「自分の部屋に帰らなくても出掛けられる?」

「あ、それは、はい。大丈夫ですけど」

見るからに大丈夫そうではあったけど確認のため聞いた。…起き抜けに、近所のコンビニに行くようなそんな格好ではなかった。カジュアルにお洒落な格好をしていた。

「だったら帰らずに居たら?好きなようにしてていいから。
ここに居てもつまんないだろうけど。遠いって程の距離じゃないけど、帰ってまた来てなんて、中途半端に時間も距離も面倒臭いじゃない?
小袋のお菓子なら色々あるし、珈琲のお代わりも入れるわよ?何か要るならコンビニに行くし。
テレビ、好きな番組、観て?本、ベストセラーの物とかならあるから、好きなら読んで?
そうしてたら、1、2時間は過ぎるでしょ?ね?
あ、転がりたかったら転がっていいから。…今日ね、珍しくちゃんと掃除したのよ?あ、珍しくってって、言っちゃった。
だから部屋、綺麗な方だと思う。ソファーにゴロッとしててもいいし。どう?」

「…いいんですか?居ても。では、居ます。取り敢えず、昼寝します」

「昼寝?」

「はい。20分程度の昼寝はいいらしいので」

「は、はい、どうぞ。自分で起きる?」

「多分、何もなくても自然に起きられると思います。起きなかったら…、あまり長いようなら適当に、起こして貰っていいですか?」

「うん、了解」


ソファーに横になった神坂君はあっという間に眠りについた。と思う。この寝付きの良さは、きっと習慣にしているからなのだろう。
寝る前に珈琲を飲んでおくのもいいと聞いた事がある。すっきり目覚められるらしい。
仕事をしている時の昼寝はした方がいいと聞いた事もある。さっき飲んだ珈琲も、丁度良かったという事ね。
季節柄、寒くは無い。お腹に掛かる程度にハーフケットを掛けておきましょうか。

私は…フフ、チーズケーキを頂く事にしようかな。

ベランダから吹き込む風が気持ちいい…。
なんだか静かで穏やかな時間だ。
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