今日も明日もそばにいて

「今日は一つ決め事を作りましょう」

「え、何?急に…」

「お互いを下の名前で呼ぶってどうですか?決めましょう。俺は実季さんて呼びます。実季さんは?
俺の事、どう呼びます?」

ぇえー……そうなると…。

「柊一君?」

だよね。それしか…呼びようが…。もっとコンバクトに柊君?…柊ちゃん?…ちゃんてね、それはないわね。呼び捨て?柊一、て。…それはちょっと違うわね。さすがに。

「はい、ではそれで。今からスタートです」

「え?もう?」

「違う呼び方をしたらペナルティー有りですからね?
はい、スタート」

「あ、ちょ…こ」

……どう考えても不公平よ。神坂君は普段から私を下の名前でほぼ呼んでるようなモノじゃない。先輩って付けなきゃいいんだから。
私はね、絶対、神坂君って言ってしまう。そう呼び慣れているじゃない?
こ、って言ったらもうアウトじゃない?…。
今だって…誤魔化せてるかな。

「フ。無口になってしまいますか?ペナルティー、気にし過ぎですよ?実季、さ、ん」

…あ。
確かに、そんなモノに囚われて話もしないなんてつまらない。
…それにしても、……これ。今日も自然と手を繋がれた。神坂君の言葉を借りるなら、…デート、だから?

「実季さん、プラネタリウムは行った事ありますか?」

「…え?あ、ううん、無い、一度も」

今、実季さんてサラっと言って除けた…。

「そうでしたか。プラネタリウムも人工物です。本物の…満天の星空は圧巻ですよね。息を飲むほどですよね、…言葉が出ない程綺麗だ。本物には敵わないかも知れないけど、プラネタリウムもそれなりに綺麗です。何より、目の前に空の映像しかない。…静かに癒されます…」

「神坂君…」

あ゙、が。…。呟きだからと、慌てて口を塞いだけど遅かった。しっかり耳に届いていたらしい。

「ハハハ。はい早速1回。どうするか、罰はお互いに決めましょうね。有無は言わせませんよ?」

ゔー…仕方ないか。…有無って、拒否はなしってことか…。一方的な決め事だとは言え、はっきり抵抗もしなかったし。今更止めようって訳にも…。ゲームみたいな物なんだし。

「…はい、解ってます」
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