今日も明日もそばにいて

ここは…凄い。何だか宇宙ステーションみたい…。
…単純ね。想像の域…本物だって見た事も無いのに。それに“宇宙”はこの中にある、これからなのよね。


「タイミングいいです。丁度今から見られますね。行きましょうか」

「はい」

ドームの中に入り、席に着いた。

本当、神坂君は、あっという間に入場券を買ったり、行動が早い。まあ、出来る営業は何でも出来るって事かな。アタフタする事ってあるのかな。

この目の前のスクリーンに映し出されるのね。

「ん?少しだけシート倒しましょうか。その方が楽でしょ」

「あ、うん、そうね…有難う」

ボーッとしちゃった。

お互いの傾斜が揃うように倒した。当たり前なのだが暗い。そして、また…手を繋いでいる。……逸れたりする心配もないんだけど…。

静かで…、勿論映像の中で流れる音は別物なんだけど。こうしていると、二人しか居ない、そんな気がしてくるから不思議だ。
…何だか雑念が多い。自分の身体、左側と右側では明らかに体温が違う気がする。…熱だ。
はっきり認識はされないかもしれないが、少し首を振って神坂君を見てしまった。
あ、…え?
目が…、今、確かに目が合ってしまった。
…嘘。神坂君も私を見てたの?

「…駄目ですよ、実季さん。俺なんか見ずに前を見てください」

言われてしまった。だけど…それを言うなら…。

「神坂君だって…あ」

「はい、ハハハ、2回目で〜す…」

あ、…。もの凄くひそひそしているのだけれど、それさえ周りに聞こえてしまうのでは無いかと心配になった。
声を発すると自然と顔は近くなる。だからドキッとする。ドクドクする音が響いて伝わっていないか心配すると、余計ドクドクした。

1時間ほどで上映は終わった。
…星空を見て癒されるはずの場所なのに。
何だか…、これってどうなのよ…。

「俺、ちょっと、トイレに。ここで待っててください」

「うん、じゃあ、私も行ってくるから、ここで待ち合わせね」

「はい、では、また後で」

「うん」
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