今日も明日もそばにいて

「どうして…そんな事…」

「ずるくない？」

「え？」

「だって…ハプニング的な出会いに遭ってる女子が世の中には居る。多分一杯居る〜。でしょ？」

「まあ、はい。居るには居るでしょうね。え、ずるいって…」

「…ずるくはないよ…ずるいとは違う。…やっぱり恋愛運が強い子なのかな。…どう思う？女神様に選ばれる運を持ってるのかな」

「実季先輩はハプニングに出会いたいんですか？」

「ん…。そうでも無い」

「あ、は、あ」

「通常も無いし、ハプニングも無い。ま、求めても無いから、出会いには繋がらないんだな〜。
…だって、あ、昼間も言ったけど、恋して無い。好きな人居ない。無い無いづくし〜。
あ、…ごめん。何でこんな話に…ごめん。…ごめんね？」

「あ、いや、大丈夫です」

こんな先輩…本当、珍しいな。気…弱ってるって事か。結局のところ、気にしてるって事だ、恋の事。

「いいんじゃないですか？無理して好きな人を作ろうなんてしなくて」

「そうよね…、そう。そうよね。…女は辛いのよ」

「え、先輩？」

「仕事は続けるのか…、結婚は、子供は。女は……年齢で難しくなる事もあるのよ。
ごめん。重い。重い話になっちゃった。私、支離滅裂？
終わり。…ごめん、そろそろ帰ろ？明日も仕事だし、ね？…飲んだ？食べた？」

「はい、大丈夫です。出ましょう、送ります」

「大丈夫、…大丈夫。一人で帰れるから。いつもそうだから…ぁ」

おっと…。不意にグラついた先輩を支えた。

「ごめん、ありがと」

「…いえ。…送ります」