今日も明日もそばにいて
はぁぁ疲れた…。納得したかな。まあ、元々解ってたって言うくらいだから、理解は出来てるだろう。
…ん…俺も帰るか…。
「すみません」
海和が出て障子が開いていたままだった。前を店員が通ったから声を掛けた。
「はい」
「お騒がせしました。これ、持ち帰り出来ますか?」
「出来ます。え〜と、全部をですか?」
「そうですね、はい。全く箸を付けなかったままで申し訳無いので」
このまま処分されてしまうと思うとな。
「畏まりました、少々お待ちください、すぐ致しますので」
「すみません」
結局、何一つ、箸をつけていない。綺麗なままだ。本当は俺の何を知っていて、何に惹かれたんだとか、海和に言いたかったけれど、きっと聞いても無駄だと思った。あの程度の会話で解ってくれたのなら、あいつだって、解っててしてた事だ。
「お待たせしました」
「あ、お手数をおかけしました。有難うございました」
「いえ、また、ゆっくりいらしてください。お待ちしております」
「有難うございます」
実季さん…。会いたいな。
RRRRR…RRRRR…。出ないか。
「はい…」
あ。出た。
「実季さん、帰ってますか?」
「…はい」
「会いたいんだ。行ってもいい?」
「…はい」
ピンポン。
「え?」
ピンポン。
「は、い。ちょっと誰か。ちょっと待ってね」
…カチャ。
「実季さん」
「あ、神坂君。え、何、どういう……早いよ、…もう、驚かさないで」
携帯を持ったままの実季さんだ。
「ハハ、会いたくて走って来たから」
「…嘘、息が荒くないもの…」
「…バレたか。これがあったから、走るのはやめたんだ」
居酒屋の料理が入った手提げバッグを渡した。
「ご飯、もう済んじゃった?」
「ううん、まだよ。先にお風呂に入ってたから。…これ…」
「うん。じゃあ、食べませんか?」
「あ、うん、あ、ごめん、入って?」
「夜なのにいいの?大丈夫?」
「え?何?今更…」
「フ、今夜は帰りませんよ?」
「…あ、はい。…大丈夫、…どうぞ」