今日も明日もそばにいて

…もっとして、って、言えないでいたら、抱えるように抱き上げられた。

ソファーに下ろされた。え…ソファーなの?
スニーカーを脱がされた。玄関に持って行ってる。

「実季さん、今夜は帰る。無事仲直りは出来たから」

え?帰る?
私を見て神坂君が首を傾げてる。

「ん?何?どうした?」

何って……。あ…。

「…週末までお預け。まだ明日も仕事だから。金曜は俺ん家に。いいですね?もう帰ります。これ以上居たら……おやすみ」

「…おやすみ」

…やっぱり帰るんだ…私が…ちょっとでも可愛らしい事を口にしないから?…。

「……帰るの?」

「ん?はい、帰りますよ?」

…待ってるんだ…よね?私の言葉を。感情を素直に現さないから。…嫌……帰らないで。

「……帰らないで」

「ん?」

「…帰らないで。…傍に居て。…私の傍に居て。誰に何を言われても…、何度告白されても…、私の傍に、…ずっと一緒に居て欲しいの。週末までなんて言わないで。今夜居て」

「実季…」

「あ、…私…」

追い縋るように背中に抱き着いていた。

「帰るって言ったのに…。今夜は駄目だ。俺…責任が持てない。…壊してしまいますよ?」

「いい…ずる休みするから、…いいの」

「…え?」

「…壊れたら明日ずる休みする。だから居て。…一緒に居たいの」

…。

「はぁ。なんとかして帰ろうとしてるのに…。実季さんが責任取ってくれるんですか?」

さっき少し触れてしまったから、それだけでもう熱いものが沸き上がって来てるんだ。悪いけど、…悪いけど?悪くないだろう。広い意味で俺は今、男盛りなんだ。これは俺の中の問題だ。冗談抜きで今夜はまずいんだ。こんな時…感情のまま目茶苦茶に抱いてしまいそうで。
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