今日も明日もそばにいて

「一緒に居たら、傍に居たら、何もしないなんて無理ですよ?今夜は特に」

「…うん」

はぁ…。参ったな。解るんだ、俺だって居たいのは居たい。そんなの当たり前だ。こんな中、帰ったら、相当、鈍感なやつって事だ。俺だって葛藤してる…。だけどな…。何だろう。流れで盛り上がる、みたいなモノってしたくないんだ。話して解決したのに…結局それか…みたいな。
…段々冷静になって来たかな。この感じなら大丈夫かも知れない。

「実季さん、風呂は?入った?」

「え?うん」

「じゃあ、俺、入って来るから」

「…うん」

…はぁ。俺の方が、いつの間にか溜め息増えてるな。この部屋にも俺の物がちらほら。俺の部屋には実季さんの物が。
まだ一月にも満たない。本来はまだこんな事、あっちゃいけないんじゃ無いのか?
別に早い事が悪いとか、遅い方が普通だ、いい事だとか、決めつけないけど。…まだ、こんな関係になるには早過ぎたのか…。焦ったか?そんな事も…無いと思う。
欲しかったのは確か。やっと手に入れた。だから自然といえば自然に任せた。
…一回切りの相手でもないのに。どちらかと言えば、知らず知らずのうちに、俺が不安に思う事が多いのかも知れない。
少し年下だという…焦りか。もっと実季さんより大人にならなくてはと思うプレッシャーか。
偉そうに話すつもりは無くても、強い男風に、上から言った方がいいみたいだし。
んんー、…オッサンなのに迷いがあり過ぎだろ。
大谷さんに偉そうに言ったけど…。俺も大概まだ中身が若いって事か。
…はぁ。いいか、がっつくんじゃないぞ。優しくだ。盛り上がるな。求め過ぎるなよ?…はぁ。
顔を洗い、ザバッと勢いよく浴槽から出た。

ふぅ…冷静を装い、風呂から上がった。

「実季…さ、ん」

あ、れ?居ない…。
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