今日も明日もそばにいて
俯せて眠る実季の身体を、俺の身体に乗せるように抱き寄せた。微かに声を漏らした。起きそうで起きない。微睡んでいる。頭をゆっくり撫でた。
もうそろそろ、自分の部屋に戻らないといけない時間だ。
実季…。
はぁ…何度名前を呼んだだろう。ごめん、抑えたつもりだったが、やっぱり夢中になり過ぎたよ。今日、もしかしたら休んでしまうだろうか。目覚ましのアラームはセットしてあるんだろうか。
実季…、まだ本当に反応が初々しい…。
経験の無い事を恥ずかしがったけど、俺はそれが堪らなく嬉しかった。初めから俺のモノだって思う…、勝手な独占欲、欲望だ。…長く思い続けた褒美を貰ったのかな。…フ、まぁそれは奇跡的なモノだな。
はぁ…完全な寝不足だな。だから…仕事のある日はまずい…。

…。

ん゙ー…そろそろ帰るか。帰らないといけないな。自分の部屋に帰るだけなんだけど、置き去りにしてしまうようで…何とも離れ難い。

「はぁ、よし、帰るぞ…」

口に出す事で行動のきっかけにしようとした。

服を着てベッドに腰を降ろした。唇でおでこに触れ、軽く唇に触れた。

…。

頭を撫でる。フ…子供みたいな顔をして…。スースーと軽く寝息を立てている。…はぁぁ。

「じゃあ、な…」

…あ゙〜、クソー。

…。

帰るぞ、帰る。

…。

抱き起こしてギュッと抱きしめた。起きてしまうが、ごめん、実季。

「…ぁ…柊、一…」

「悪いな、起こして」

「…ううん、…えっと、…もう…帰る時間?」

「…あぁ。だけど、ご覧の通り、未練たらしくグズグズしてた。ごめん、身体、大丈夫か?」

顔を見て髪をすいた。

「ゔんー…大丈夫じゃないし、怠い…眠い…」

実季が力なく顔を埋めてきた。

「クス。ごめん。俺も凄い眠い。今日、休むのか?」

グッと抱き直した。

「あっ、はぁ。…ううん、行けると思う…行かなくちゃね」

「そっか…」

「…うん。また、後で。会社でね」

綻んだ顔で実季が言った。

「はぁ。ああ。…じゃあな」

そう言いながらもまた抱きしめた。…余計なモノを目にしてしまった…これは…尚更離れがたいな。

「実季、まずい…、色っぽいな。…全裸だ」

あ、やっ、と慌てて布団を引っ張り、抱える実季の顔を上向かせて唇を押し付けた。

「…ん。はぁ…俺しか見てないから大丈夫だ。鍵、すぐしろよ?じゃあ、な」

「ぁ…う、ん」

抱きしめ、クシャッと頭を撫でてやっと部屋を後にした。
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