今日も明日もそばにいて
ブー、ブー、…。神坂君。

【金曜、仕事終わりに食事して水族館、なんてどう?】

…え。…ぇえ?…水族館?

【それは…デート?】

どうしたの?

【そう、デートだね】

【遅くなるんじゃないの?】

決めてたって、忙しくて…結局駄目になったりしないの?

【遅くなってもよくない?翌日休みだし】

あそうか、そうよね。では…。

【お店、決めてあるなら、一旦帰ってから待ち合わせたい。私の方が終わるの早いから。いい?】

【じゃあ、そうしよう。決まりでいいね?】

【うん、有難う。“デート”嬉しい。ハートマーク】

ハハハ、ハートマークは流石に…。フ。ん…喜んでる場合じゃ無い。よし、予約入れとくぞ。


水族館かぁ…。何だかロマンティック?デートするなら、一旦、帰りたかった。強くこだわった訳じゃないけど、会社からずっと一緒っていうのではなく、改めたかった。お互いに時間に待ち合わせて会いたいと思った。だって、単に仕事帰りにってしたくなかった、デートと名のつくモノだから。…ご飯、何を食べたっていい。勿論、それなりに探してくれて決めてくれるのだろうけど。こういうのは、何を食べるかでは無い、誰と食べるか、なのよね。夜の水族館もきっと素敵だろう。だけど、それも、どこに行くかでは無い。誰と行くか、なの。そのどちらもが、神坂君とだから嬉しいんだ。…フフ。な~に、のろけてるんだろう。はぁ、…デートだ。…嬉しい。…金曜待ち遠しい。



ブー、ブー。

【仕事が終わり次第連絡入れるから。待ち合わせは実季ん家の最寄駅で、いい?】

【了解。会社出る前にメールして?】

【了解。またあとで】

丁度、シャワーを済ませたところだった。…フフ。
ごめんね、私だけ。
ワンピースに着替え、ネックレスをする。鏡に写るネックレスを摘まんだ。
これはプラネタリウムの記念。神坂君は、着けるには、おもちゃみたいな代物だから、と言うけど、私は好き。意味のあるモノだと思ってる。可愛いし…、好き。

RRRR…RRRR…。あ、…電話、誰?…あ。

「はい?」

どうしたの?緊急?思ったより遅くなりそうなのかな。…無理になったって事かも。

「実季?あー、今から出るから…、20分後くらいに駅で、大丈夫?遅れてもいいよ?待ってるから」

あ、良かった…。大丈夫なのね。ビックリした…。

「…もう」

「ん?」

「ううん、何でもない、大丈夫、合わせられる。用意は済んでるから」

「じゃあ、気をつけて来るんだよ?」

「うん、じゃあ…、後でね」

…はぁ、駄目になった連絡かもって思っちゃった。電話なんて。…ドキドキしたぁ。ちょっと狡いよ…。フフ。
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