今日も明日もそばにいて
「ところで、今日は、どこに行くんですか?」

「…え?あー、ご飯のお店は知らないんだけど、その後は水族館に行くって」

「へぇ、いいですね、水族館。泳いでる魚を見て、旨そうとか言ったら、周りにドン引きされますね」

「あ、フフフ、それは引かれるわね。でも魚を知っている人なら言ってしまいそうね。鰯の群れだって、鰯、美味しいし。…フフフ」

「マグロなんかワーッて大群で見たら、寿司が食べたい、とか言ってしまいそうだ、ハハハ。トロが泳いでる!ってね」

「うん。フフフ、そうね、フフ。志野田君は楽しい人ね。これから水族館に行くのに、うっかり言ってしまいそう」



カラン…。

「あっ、と、志野田」

「おお、やっと来たか」

「すまん、助かった。あれ、実季は?」

「お手洗いだ。…あ、おい、今なんて?」

「何?」

「今、なんて言った?」

「すまん、助かった、って…」

「その後」

「その後?実季は…か?」

「はぁ!?それそれー!み、みきって!」

「実季は、実季だろ?」

「何その、当たり前だ、って顔。はあ…短期間でもうそんな…偉くなったもんだな~。杜咲さんを下の名前で、しかも呼び捨てるなんて…。実季様だろ。さ、ま」

「…。実季さんて、やっぱり呼ぶ事も多いんだけど。…嫌がるんだ。上から言われる感じの方が嬉しいんだって」

「…なるほどね。じゃあ、俺も?」

「…あほか、お前は駄目に決まってるだろうが、関係ない。俺が許さん」

「はぁー、偉そうに…。関白だねー早くも」

「うるさい。…お前、いいのか?週末だし、今日、梨香と約束は無かったのか?」

「ん、ああ、今日は忙しいらしいから。特に無い。じゃあ、俺もお前らと一緒に行くとするか」

「あー…、呆れて言葉が出て来ない」

「実季さんに聞いてみようかな〜。いいって言うかも知れない。今日のお礼、って」

「…馬鹿言って無いで帰れよ。こっからは駄目だ」

「解ってるよ。帰りますよ。
あ、実季さん、俺帰ります」

実季が近くに来ていた。

「え?志野田君、ご飯は?一緒にどう?」

…。

実季、今日は無しだろ…。デートだって言って喜んでただろ?志野田、お前空気読めよ、空気。行く、なんて言ったら、…殺す。ぶっ殺す。

「あ〜残念です。ご飯作って待ってるはずなんで、急いで帰らなきゃ。神坂も来た事だし、もう大丈夫だ。帰ります。また別の日に誘ってください」

…ま、50点、いや、30点だな。

「じゃあな、神坂」

「…ああ、悪かったな、サンキュー」

「実季さん、また」

「うん、今日は有難う。また今度の機会にね?」

手を振られた。


はぁぁ、…実季さんに手を振られた。また今度って、お誘いだよなご飯の。
次は梨香に断って必ず行くぞ。
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