今日も明日もそばにいて


「ごめん、遅くなりましたね。詳しい話は後で。取り敢えず、移動を急ぎます」

「…うん」

カフェを出て電車に乗った。



「ここ…」

「レストランで食事をして、水族館に行って帰って来て、今夜はここに泊まります」

ホテルのレストラン。水族館も近い。

今日って、何か特別な日だっけ。
誕生日でも無いし。お付き合いして何日とかっていうやつ?
でもまだ日数が少な過ぎるし。

「ねえ、神坂君、私の知らない何かアニバーサリー?」

「いいえ?」

「あ…じゃあ、ここに泊まるのは?」

「さあ、特には」

決めた人が、さあって…。

「何も無い日だっていいじゃないですか。何でも無い日だって、二人で過ごす日は特別にしてしまえば」

…。

「ご飯が終わったら水族館。お泊りも楽しみですね。…寝かせませんよ?」

…そんな事。…。



シャンパンで少し火照った手を繋ぎ、水族館へ。

「…綺麗」

本当に…白い宝石というか、月が漂っているかのよう…。
暗い水槽の中で海月が上下にフワフワ移動していた。

深い碧みがかった水の中、白い小さな塊。

照明の加減もいいのだろう。

時間を忘れてずっと見ていたいくらい。

何だろうこの空間。はぁ…、静かで凄く癒される。

来観している人は、ほぼ、お互いに絶妙な距離を保って居る、二人連ればかり。

週末の、夜の…大人の時間…。


「神坂君…連れて来てくれて有難う。もう、ここだけでもいいくらい」

「まだ本の入り口ですよ?大水槽も見ませんか?」

「大水槽って、マグロ?鰯?」

「え?…フッ。他にも沢山いますよ?食べるつもりですか?」

「…食べない」

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