今日も明日もそばにいて
「一緒に居たいとは凄く思ってるの」
「うん」
「でも、神坂君の部屋に出入りしてるところを誰かに見られたらと思うと、心配もあるの」
「うん」
…。
「それで?」
「一緒に居たいと思い始めたら駄目なの…」
「何故?」
「一緒に居られない事を考えたら、溜め息が出るの」
…。
「じゃあ、その溜め息は無しにすればいいじゃないですか」
「一緒に暮らすって事?」
「そうです。…はぁ…解りました。心配があって気が進まないなら、止めておきましょう。
鍵は渡しましたから、いつでも来てください?」
「…うん」
「何故、うん、なんです。スリリングな方がいいんだ…」
「え?だって、神坂君だって今…」
「ゴチャゴチャ言わず、一緒に暮らせばいいんです」
「え?!」
「一緒に居たいんでしょ?どうなんです?」
「…一緒がいい」
「…もう。決まりですよ?今日からです」
「えっ?」
「今日からです。有無は言わせません。あ、それから、この辺にうちの会社の人間は住んでいません。この部屋を借りる時、念入りに調査しました。住んでいない事を確認して借りましたから」
「え?どういう事?」
「…妄想ですよ。実季とつき合えるようになった事を想定して、行き来しても、実季が誰の目にも触れる事が無いように。考えてましたから。今後もこの辺に誰かが住む事はまず無いと思います。何故なら、ここは会社からも少し遠い。実季や、志野田が居る辺りはマンションが凄く多いし、何より会社に近くて便利だ。住むならその辺りを選ぶはずです。好き好んで遠くなる方は選ばないでしょ。
…どうですか?実季を意識したら、こんな事をとうの昔から考えていたんです。引きます?」
…引きはしない。男の子の可愛い妄想の内なのかな。
「…凄い、実行するなんて。…なんていうか、マルチに出来る男なのね。誉めてるのよ?引いてるんじゃ無いのよ?」
「ふぅ、そうですか?あと、俺は良からぬ妄想の中でも、ずっと実季と呼んでいました」
…それは今はもう解ってる。だから寝言も実季になるのよね?
「流石にキモいですか?」
首を振った。
「全然。女子だって、…言わないけど、案外有らぬ想像とか、してるものよ?そんな事、なんでも無いと思う」
「実季は気づいてますか?」