今日も明日もそばにいて
「俺達だってハプニングに遭ってるんですよ?」
…ハプニング?
「立ち飲み屋からの帰り。酔って眠ってうちに泊まった、下着姿でね」
あ。…確かに。ハプニング。そう。言われてみればあれはハプニングよ!
「言われてみれば…」
「フ、はい。こんな事…、マズイと思いました。邪な気持ちが芽生えそうになりました。だから、実季を寝かせて、俺は冷たいシャワーを浴びに行きました。戻ったら驚いた。ベッドの下、辺り一面に、洋服と、キャミソール?と、…ブラが散乱していましたから」
「あ…え゙っ?!」
ちょ、ちょっと…聞いて無い…。
「ちょ、…どういう事?」
「多分、飲んでたから、暑かったのだと思います。酔ってたし、俺が薄いとはいえ、ケットも掛けてたから。それで脱いじゃったんだと思います」
えー、…えー?!今更ながら胸を手で押さえた。ブラまで外してた?…でも確かキャミソールも着てたわよ?……?
「だから、その…、ブラをつけて、キャミソールを着せました。はぁぁ、本当…襲いたくなりましたよ。駄目だ駄目だと思っても、酔いのせいにしてシてしまおうかとも思いました。でもそれは駄目だから。理性はあったとはいえ、葛藤しました。それからも脱ぎたがるので、動けないようにしようと抱きしめました。暑いー、とか、脱ぐーとか、しばらく言ってました。お互い格闘しながらも、気がついたら寝てましたけどね」
…とんでもないハプニングじゃない…。こんな事…。今更爆弾発言過ぎない?匂いを気にしてとかの問題じゃないじゃない?……じゃあ、あの時既に、私のこの、…申し訳程度の胸は、既に見られていたって事よね…はっきり確認済み…。…ゔ…、嫌、恥ずかしいから見ないでなんて言ってる事も、そんな事があったなら余計恥ずかしいじゃない。…もうー、嫌ー。……はっ、もしかしたら、控え目に言ってくれてるのかも知れない…。
「神坂君…」
あ…いつの間にか、ニコニコしてる。私は引き攣りそうなのよ…。
「なんです?」
「私、もしかして…し、下、下も脱いで無かった?」
「いつも全裸で寝る習慣なんですか?」
えっ、それ、どういう事?全裸だったって事?
「ううん、ちゃんと着てる。着て寝てる」
「そうですか…」
だから、どっちなの?
「あの、ね?穿いてなかったの?脱いじゃったの?」
どうなの?知りたいのはその事なのよ。
「んー、証拠がある訳では無いですから、信じるか信じないかは実季次第ですけど…」
…あぁ、う、そ……アウトなんだ。
「下は穿いてました。それで、大の字に寝てました」
え?ぁ、そんなぁ…、セーフの後の悪夢のようなアウトだ…。もう、これでもかって、体を腕で隠した。条件反射よ。今更の無駄な抵抗よ。
「凄いハプニングでしょ?」
「い、言ってよね?その時に」
もう……嫌だ…。
「いや、あの時は流石に言えないでしょ。今だから、言える関係性になったから、言えてます。あの時、言ってたら、それから俺を敬遠するようになったはずですから。きっと気まずくてそれっきりに……絶対、言えませんよ」
……かも知れない…。だって…、男女の関係も無い、まだただの後輩君だった神坂君に、醜態を晒してしまったのだから。仕事でだって顔を会わせるのも極力避けたと思う。…知らなかったからこそ、あの後も色々と一緒に出掛けられたんだ。恥ずかしげも無く。あー、もー。
あぁ…もう駄目。反抗する気力も無くなった。